第7回 吃音キャンプOKAYAMA
保護者からの質問に答える
最後のセッションは、保護者から出された質問に答えました。紹介します。
当事者研究という考え方がある。ひとりで抱えるとしんどいけれど、自分の抱えている問題を一緒に考えてくれる仲間や親がいると、自分で処理ができ、解決できる。健康生成論で紹介したが、処理可能感がとても大事だ。吃音で悩んで困っているときに、「つらかったね」「しんどかったね」という共感は、最初はとても大事なことだけど、ただ悩みを聞いているだけではなく、じゃ、困ったことや悩みを一緒に研究しようと、研究にもっていく。悩みや困ったことは、どうして起こったのか、どういう状況なのか、根掘り葉掘り、聞いていく。聞くことが却って、その人を傷つけるのではないかと思うようだけれど、これは誤った考えだと思う。根掘り葉掘り聞くということは、その子の困っていることや悩んでいることに対して、関心があるということの表れだから、ちゃんと聞いて確認しないと、失礼だと思う。困っていることを困ったんだねと終わらせてしまうことは、せっかく子どもが考えたり工夫したりするチャンスを失ってしまうことになる。
また、「こういうことがあったから、あの子は、僕のことを嫌っているに違いない」と子どもが言ったとする。「こういことがあった」という出来事に関して、できるだけ質問し、出来事を確認する。そして、子どもが「こういうことがあったから、こういうことを考えた」と言ったとしたら、「あなたはそう考えたんだね。だけど別の考え方はないかな」と、質問していく。それは、誰もがもってしまう、偏りがある考え方を広げていくことになる。
興味、関心をもって、根掘り葉掘り聞いていくことによって、あんなことを言ったけれども、前はこんなことがあった、前は違うことも言っていたなどと、その子どもの持っている角度を広げることができる。今度はこんなことをやってみたらどうかと、提案もできる。まずは、しっかりと話を聞いて、「研究」というキーワードと「受け止め方、考え方を柔軟にする」の視点を持ってほしい。つらい思いや、困っている子どもにどう接したらいいかという質問ですが、困ったことや悩んでいることを一緒に研究することはできるのではないでしょうか。僕なら、そういうふうにします。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2019/11/10
保護者からの質問に答える
最後のセッションは、保護者から出された質問に答えました。紹介します。
子どもがすごくつらい思いをしているとき、どう対応すればいいのか。学年が上がってくるにつれて、いろいろ問題が出てくるだろうけれど、そのとき、親としてできることは?
当事者研究という考え方がある。ひとりで抱えるとしんどいけれど、自分の抱えている問題を一緒に考えてくれる仲間や親がいると、自分で処理ができ、解決できる。健康生成論で紹介したが、処理可能感がとても大事だ。吃音で悩んで困っているときに、「つらかったね」「しんどかったね」という共感は、最初はとても大事なことだけど、ただ悩みを聞いているだけではなく、じゃ、困ったことや悩みを一緒に研究しようと、研究にもっていく。悩みや困ったことは、どうして起こったのか、どういう状況なのか、根掘り葉掘り、聞いていく。聞くことが却って、その人を傷つけるのではないかと思うようだけれど、これは誤った考えだと思う。根掘り葉掘り聞くということは、その子の困っていることや悩んでいることに対して、関心があるということの表れだから、ちゃんと聞いて確認しないと、失礼だと思う。困っていることを困ったんだねと終わらせてしまうことは、せっかく子どもが考えたり工夫したりするチャンスを失ってしまうことになる。
また、「こういうことがあったから、あの子は、僕のことを嫌っているに違いない」と子どもが言ったとする。「こういことがあった」という出来事に関して、できるだけ質問し、出来事を確認する。そして、子どもが「こういうことがあったから、こういうことを考えた」と言ったとしたら、「あなたはそう考えたんだね。だけど別の考え方はないかな」と、質問していく。それは、誰もがもってしまう、偏りがある考え方を広げていくことになる。
興味、関心をもって、根掘り葉掘り聞いていくことによって、あんなことを言ったけれども、前はこんなことがあった、前は違うことも言っていたなどと、その子どもの持っている角度を広げることができる。今度はこんなことをやってみたらどうかと、提案もできる。まずは、しっかりと話を聞いて、「研究」というキーワードと「受け止め方、考え方を柔軟にする」の視点を持ってほしい。つらい思いや、困っている子どもにどう接したらいいかという質問ですが、困ったことや悩んでいることを一緒に研究することはできるのではないでしょうか。僕なら、そういうふうにします。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2019/11/10