吃音親子サマーキャンプに参加して〜感想を紹介します〜

 吃音親子サマーキャンプの報告の続きをと思っていましたが、仲間の坂本さんが、参加しての感想を送って下さいました。坂本さんは、自分の娘さんが小学5年生のとき、音読ができず泣いたことをきっかけに、まず、僕の本を片っ端から読み、それが縁で大阪スタタリングプロジェクトにつながりました。その娘さんは、もう大学生。その後、親である坂本さんは、成人のどもる人の例会である大阪吃音教室に、年間通じてほぼ欠かさず参加しています。もちろん、吃音親子サマーキャンプの常連スタッフです。今年は、娘さんも、キャンプ卒業生の若いスタッフとして参加しました。
 哲学者でもあり、思慮深く、鋭い論考をするかと思えば、冗談も多くお茶目なところもある、坂本さん。笑いやユーモアのセンスは、僕によく似ています。大切な仲間のひとりです。
 そんな坂本さんの感想を本人の了解を得て、紹介します。

       
吃音親子サマーキャンプの余韻に浸っています

 吃音親子サマーキャンプのことが、キャンプの最終日当日、朝日新聞大阪版社会面に掲載されたと、朝のラジオ体操の時に紹介され、歓声をあげたのですが、9月2日には、東京版の生活面にも載ったとのこと、嬉しいことです。さて、今年は30年を記念してのセッションや当日の記事のおかげでいつにもましてサマーキャンプの印象が濃く残っています。
 2010年の秋、娘が吃音に悩みだした頃、当時手に入るだけの伊藤伸二さんの本を読み、ノートをとりながら、そして今でも時々ですが『吃音ワークブック』(解放出版社)の、サマーキャンプの参加者140人が参加した時の集合写真の表紙を眺めることがあります。その後、集合写真は撮ったことはないので、奇跡の一枚だと思うのですが、均一化されていない人たちがばらばらでありながらも連帯感をもって写っている。濃い顔の人たちが実に嬉しそうに写っている。子どもたちの笑顔もとびっきりです。伊藤さんがここにいて、この人は親か、この人はスタッフだろうとか思いながらよく眺めました。
 スタッフとして参加してのこの9年は、この写真に載っている人たちと出会う旅であったのだと感じています。この場をともにする一員であることが私にとって何よりの喜びです。
 特別何かをしているわけではないのですが、話し合いに耳を傾ける、沈黙の時間をともに過ごす、感じたことをことばにして返す。演技に驚き、笑い、ことばが出る時間をともにする。何より大切なのは、アホなことを言い続ける!?
 同じ参加者としてあの場で応答性を生きることが「あなたはあなたのままでいい あなたはひとりではない あなたには力がある」というメッセージを証していることになっているのだと思います。
 お互いのプレゼンス(存在)がプレゼント(贈り物)になっている場がサマキャンなのでしょう。
                              坂本英樹


日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2019/9/4