吃音の夏、到来〜第30回吃音親子サマーキャンプ

サマキャンの写真 ワークブック表紙 10%



 7月に入りました。「吃音の夏」と、僕たちが呼んでいるシーズンの到来です。

 吃音親子サマーキャンプは、今年、30回目を迎えます。
 ひとりで吃音に悩んでいたとき、同じようにどもる仲間に出会えた喜びは、何にも代えがたいものでした。その仲間といっぱい話し、いっぱい聞き、新しい価値観に出会い、僕もがんばってみようと行動を変えるきっかけをもらいました。もっと小さい頃に、子どものころに出会えていたら、そう思って、どもる子どもたちのためのサマーキャンプをしようと考えたのが、30年前。たくさんのどもる子どもたちに出会いました。連れてきてくれた保護者、手弁当でかけつけてくれたどもる大人やことばの教室担当者や言語聴覚士などの臨床家、大勢の力が集まって、吃音親子サマーキャンプは、30年の歴史を重ねてきました。

    あなたはひとりではない
    あなたはあなたのままでいい
    あなたには力がある

 このことを伝えたくて、続けてきたのだと思います。

 今年の日程は、次のとおりです。
日時 2019年8月23・24・25日
      23日13時から25日15時まで
場所 滋賀県彦根市荒神山自然の家
参加費 16000円(どもる子どもと大人も同額)
内容 吃音についての話し合い
   ことばに向き合うための芝居の練習と上演
   親の学習会

ホームページに詳しい案内と参加にあたっての注意事項、申し込み書があります。

吃音親子サマーキャンプに参加した親子の感想を紹介します。
          
小学5年生
 今年で2回目の参加でした。相変わらずとても楽しいキャンプでした。スタッフの人はやさしい人ばかりで、友だちも新しく何人かできました。サマーキャンプに行くといつもほっとします。
 学校では、教科書を早く読む練習や読んでいるときに秒を数えたりするので、少しプレッシャーがかかってしまいます。サマーキャンプに来ると、同じようにどもっている人がたくさんいるので、プレッシャーがかかりません。劇の練習はとても楽しかったです。自分でおもしろいせりふを考えたり、いろいろなゲームをしたりして、とてもおもしろかったです。来年もいろいろな役に挑戦してみたいです。
 9月から新学期が始まりますが、どもりながらも、自分の意見を言おうと思っています。

保護者
 今回の参加は、安心感に始まり、感謝に終わりました。今は、その心地よい余韻に浸っています。到着するまでは一定の緊張感があり、そんな気持ちになるとは想像していませんでした。到着したときには気持ちが解凍されていくような感覚になり自分で驚きました。普段の生活では、自分で思っている以上に、がんばっているのだなあと思いました。
 同じ悩みをもつ保護者の方や子どもたちと一緒にいられる安心感。その場を作り支えて下さるスタッフの方。安心できる場所で安心できる人たちと過ごせたこの満足感が、まさに自己肯定感なのだなあと思いました。サマーキャンプには、他者信頼や他者貢献もたくさんありますね。息子はこの1年で成長しました。
 今回のキャンプで得たものも大きいと思います。これからの成長が楽しみです。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2019/7/3