懐かしい人からの電話 パラグアイからの声


 11月3・4日は、第10回吃音キャンプ IN GUNMAでした。
 熱心に取り組んで下さる方のおかげで、どもる子どもたちや保護者と有意義な時間を過ごし、4日夜、大阪に戻りました。そして、その日の夜、珍しい人から電話をもらいました。

 僕がまだ東京にいて、東京言友会で活動してきたとき、一緒に活動をした仲間の一人です。合田義雄さんと言います。会を創立してから、数年ほど一緒に活動しました。彼は、その後、パラグアイに移住し、そこで、大学時代に学んだことを活かして、パラグアイに農業を根付かせる仕事をしていたと記憶しています。
 声を聞くのは、45年ぶりぐらいでしょうか。
 彼は、今回、世話になった大切な先輩が亡くなったため、パラグアイから日本に一時帰国したとのことでした。ひとしきり、近況を伝え合いました。僕が、今なお、吃音にかかわる仕事をしていること、今、どもる子どもたちとのキャンプから帰ってきたばかりだと話すと、「伊藤さんは、すごい。すごいね」と言ってくれました。僕は、自分が一番したいことをしているだけで、好きで続けてきただけですが、「すごいね」と言ってもらって、うれしくなりました。

 合田さんは、東京言友会時代、「ことばのりずむ」という雑誌の編集委員をしていて、創刊号には、「沖縄からのレポート」という文章も書いていました。理論研究部にも所属していて、調査研究の報告の文章も書いていました。

 そして、なんといっても、合田さんといえば、言友会の歌を思い出します。会創立5年目に、言友会の歌を制作することにし、作詞は仲間から応募しました。作曲は、黒澤明監督の映画音楽の多くを担当していた映画音楽の第一人者で、「若者たち」の作曲者でもある佐藤勝さんにお願いしました。たくさんの応募作品の中から佐藤勝さんに選んでもらい、佐藤さんが少し手直しをして下さり、言友会の歌が誕生しました。創立5周年記念祭の時、フォークグループのシュリークスが歌ってくれました。電話を切ってから、あの当時を思い出して、歌いました。なつかしかったです。
 合田さんは、来年も日本に帰国する予定だと聞きました。そのときはぜひ、会おうと約束しました。

     
輝く明日  
                        作詞    合田義雄  
                        補作・作曲 佐藤勝
      
1 昨日まで私は一人
  故郷(ふるさと)を出てから
  夢を語る人もなく
  やさしい春の陽(ひ)の中で
  昨日まで私は一人

    2 今日はもう私は二人
      名前を呼びあえば
      あなたのその瞳(め)の中に
      輝く星の光りみて
      今日はもう私は二人

        3 明日から私は全て
          喜びも哀しみも
          仲間と共にかみしめて
          冬に陽(ひ)の響く上をみて
          明日から私は全て


日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2018/11/7