第29回吃音親子サマーキャンプ6 弾けた親のパフォーマンス
2日目の夕食は、野外で食べます。かなり前からそうしています。そして、メニューは、特別メニューのカツカレーです。

カレーといえば、昼食の定番なのですが、夕食にカツカレーを出してもらっています。20回の記念のときに食堂にお願いしてから、定番になりました。
今年の出会いの広場で、来年の30回を記念しての前年祭の替え歌に、「カレーにのるのはエビフライ」とありましたね。カツではなくエビフライなのか、カツ+エビフライなのか、さてさてどうなることでしょう。
僕は、この、野外での夕食風景が好きです。

以前、斎藤道雄さんがTBSのドキュメンタリー番組「報道の魂」で、サマーキャンプを特集して下さったとき、みんながカツカレーを食べている光景に「揺れながら、緩やかで、ひとつの家族のような…」というナレーションが流れました。すぐ近くの小山には、夕陽が射していて輝いています。ずっと前から変わらないこの荒神山の風景が、夏の終わり、僕たちを迎えてくれます。なんだかふるさとの田舎に帰ったような気持ちになります。
ここで育っていった子どもたちはたくさんいます。就職し、結婚し、仕事が忙しくなっているのに、サマーキャンプだけはと参加してくれるスタッフもいます。
「結婚して子どもがどもっていたら、どもる子どもの父親として参加します」と卒業式で挨拶した子もいました。大きなひとつの家族になって、温かい幸せな時間が過ぎていきます。
夕食後、子どもたちは劇の練習に、各部屋に戻っていきました。親は、子どもより先にお風呂に入り、学習室でフリートークです。和室は、子どもたちが劇の練習で使うので、そこにはいられないというのが実情なのですが、少しゆったりと過ごすことができます。思い思いに話が弾みます。話し合いや学習会で聞けなかった話も飛び出します。子どもたちは厳しい?練習中ですが、親は別世界を楽しみます。
さて、最終日。子どもたちはリハーサルをして、劇の仕上げです。親たちは、子どもたちの前座をつとめるので、話し合いのグループごとにパフォーマンスに挑戦です。
10時半、劇の上演が始まりました。
前座をつとめる親たちのパフォーマンスは、「荒神山ののはらうたPART14」。工藤直子ののはらうたからとっています。短い時間しかないのに完成度は高く、普段見ない親の姿に子どもたちもびっくりです。一人で読んだりみんなで読んだり、動きも加わって、詩が立体的になります。2回の話し合いをしてきたグループだからこその信頼で結ばれているから、思いがけないパフォーマンスも飛び出します。弾けた親の姿は、子どもたちの目に新鮮のようです。
孫と一緒に初めて参加した祖母は、初めてにもかかわらず、他の親たち数人の肩に担がれて、うれしそうに愛の告白を受けていました。これにはびっくりです。見ていて楽しく、幸せな気分になります。工藤直子さんの詩の持つ力でしょうか。仲間の力でしょうか。



今年は、次の4つの詩を選びました。僕の、こんなはじめのことばから、親のパフォーマンスはスタートしました。
荒神山ののはらうたに登場したたくさんの仲間たち。あり、だんごむし、かまきり、せみ、犬、ねこ、たぬき、いのしし、いぬ、ねこ、めだか、いるか、木や風も。
今年は、空の上から見守ってくれている仲間たちを紹介しましょう。荒神山から、空を見上げてみると、気持ちよさそうに空を飛んでいる仲間がいます。
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2018/10/01
2日目の夕食は、野外で食べます。かなり前からそうしています。そして、メニューは、特別メニューのカツカレーです。



今年の出会いの広場で、来年の30回を記念しての前年祭の替え歌に、「カレーにのるのはエビフライ」とありましたね。カツではなくエビフライなのか、カツ+エビフライなのか、さてさてどうなることでしょう。
僕は、この、野外での夕食風景が好きです。

以前、斎藤道雄さんがTBSのドキュメンタリー番組「報道の魂」で、サマーキャンプを特集して下さったとき、みんながカツカレーを食べている光景に「揺れながら、緩やかで、ひとつの家族のような…」というナレーションが流れました。すぐ近くの小山には、夕陽が射していて輝いています。ずっと前から変わらないこの荒神山の風景が、夏の終わり、僕たちを迎えてくれます。なんだかふるさとの田舎に帰ったような気持ちになります。
ここで育っていった子どもたちはたくさんいます。就職し、結婚し、仕事が忙しくなっているのに、サマーキャンプだけはと参加してくれるスタッフもいます。
「結婚して子どもがどもっていたら、どもる子どもの父親として参加します」と卒業式で挨拶した子もいました。大きなひとつの家族になって、温かい幸せな時間が過ぎていきます。
夕食後、子どもたちは劇の練習に、各部屋に戻っていきました。親は、子どもより先にお風呂に入り、学習室でフリートークです。和室は、子どもたちが劇の練習で使うので、そこにはいられないというのが実情なのですが、少しゆったりと過ごすことができます。思い思いに話が弾みます。話し合いや学習会で聞けなかった話も飛び出します。子どもたちは厳しい?練習中ですが、親は別世界を楽しみます。
さて、最終日。子どもたちはリハーサルをして、劇の仕上げです。親たちは、子どもたちの前座をつとめるので、話し合いのグループごとにパフォーマンスに挑戦です。
10時半、劇の上演が始まりました。
前座をつとめる親たちのパフォーマンスは、「荒神山ののはらうたPART14」。工藤直子ののはらうたからとっています。短い時間しかないのに完成度は高く、普段見ない親の姿に子どもたちもびっくりです。一人で読んだりみんなで読んだり、動きも加わって、詩が立体的になります。2回の話し合いをしてきたグループだからこその信頼で結ばれているから、思いがけないパフォーマンスも飛び出します。弾けた親の姿は、子どもたちの目に新鮮のようです。
孫と一緒に初めて参加した祖母は、初めてにもかかわらず、他の親たち数人の肩に担がれて、うれしそうに愛の告白を受けていました。これにはびっくりです。見ていて楽しく、幸せな気分になります。工藤直子さんの詩の持つ力でしょうか。仲間の力でしょうか。



今年は、次の4つの詩を選びました。僕の、こんなはじめのことばから、親のパフォーマンスはスタートしました。
荒神山ののはらうたに登場したたくさんの仲間たち。あり、だんごむし、かまきり、せみ、犬、ねこ、たぬき、いのしし、いぬ、ねこ、めだか、いるか、木や風も。
今年は、空の上から見守ってくれている仲間たちを紹介しましょう。荒神山から、空を見上げてみると、気持ちよさそうに空を飛んでいる仲間がいます。
どこまでも こうのとりけいた
つばさ ひろげて
ひかり せおって
くちばしのばして
うたうよカッタカタ
ぼくら
おおぞらたんけんたい
なかま さがして
とべ! どこまでも
ひとみ きりりと
あしを ふんばり
じまんのくちばし
ひびくよカッタカタ
ぼくら
おおぞらたんけんたい
あすを めざして
とべ! どこまでも
うたいます ひばりゆうこ
じめんから そらまで
いっちょくせん!
それが わたしの とびかたです
はねいっぱいに はばたいて
おひさまに よびかけます
♪チーチクチ・チーチクチ
スキデス・スキデス
オヒサマ・スキデス
わたしの うたごえ
いっちょくせん!
おひさまの ひかりを
そらに ぬいつけたくて
おひさまに よびかけます
♪チーチクチ・チーチクチ
スキデス・スキデス
オヒサマ・スキデス
あんまり「スキ」っていわれて
おひさま あかくなっている
いまの「いま」 おおわしひろし
あさひを あびて つばさ ひからせ
そらに はばたく ぼくは おおわし
さんぽしていた わたぐもが
ぼくをみていった
ああ きみは まるで
「ひかる ひとりぼっち」だ
そうなんだ!
ひとりぼっちで とぶときの
ぼくのまわりを ながれるじかんは
はじまりもなく おわりもなく
ほんじつ ただいま
いまの「いま」だけ!
あさひを あびて つばさ ひからせ
ひとりぼちは さびしいが
ひとりぼっちは ほこらしい
ね、おひさま いまぼくは
あなたとおなじ きもちです
おおぞらのグー・チョキ・パー とんびまさお
ぼくたち とんびは
そらと なかよし
いつも いっしょに あそぶんだ
たとえばね
そらに むかって
グーッ と とびたち
つばさを
おもいきり
パーッ と ひろげ
くるりと そらを ひとまわり
チョキ・チョキ・チョキと
あおいところを きりぬいて
そらに おおきなマルをつくる
すると そらが
「よくできました はなまる!」
って いってくれるんだよ
日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2018/10/01