第29回吃音親子サマーキャンプ5 親の学習会&ウォークラリー


 話し合い、作文、話し合いというサンドイッチのプログラムが終わり、2日目の午後は、保護者は学習会、子どもは劇の練習とウォークラリーです。
 吃音親子サマーキャンプは、親子での参加を原則としています。親は、単なる付き添いではなく、親自身も自分を語り、自分のこれまでの人生を振り返り、子育てや子どもとのつきあいを考えてもらいたいと思うからです。
 昨年の親の学習会は、どもりながら、自分が一番したかった消防士という仕事に就いている兵頭さんに僕がインタビューして、その話を聞いてグループごとに彼のレジリエンスを模造紙にまとめていくという作業をしました。
 今年は、全員に質問を書いてもらい、それに答えていくという形をとりました。
親の学習会 全体親の学習会 伸二親の学習会 伸二とみんな
・見守り続けるだけでいいのだろうか。これから面接などがあるので、何かできることはないだろうか。
・職業を選ぶとき、大切にすることは何か。
・吃音には波があるが、それに心理的負担は影響しているのか。
・大阪吃音教室では、発音・発声の練習をしていると聞いている。吃音と構音障害を併せ持つ我が子に、訓練は必要か。
・話している途中にどもってしまい、そのために話すことをあきらめてしまうことがある。親として、そんなときどう対処したらいいか。
・どうせ僕は吃音だから…と言うことが多い。どもっていても、いろいろなことに挑戦してほしいと思っているのだが。
・どもっている子どもの口元を見るのは失礼なことだろうか。
・友だちから傷つくようなことばをかけられたとき、どう声かけしてやったらいいか。
・どもりのことを話題にしようとしたら、子どもから「言わないで!」と言われた。こんなとき、どうしたらいいか。

 ほかにもいろいろな質問が出されました。事前に知らされているわけではないので、答えの準備はできませんが、そのときそのとき、せいいっぱいの、僕なりの考えていることを話します。きっと、僕の頭はフル回転しているのでしょう。これまでに出会ったたくさんの人の体験が蓄積されていて、瞬間瞬間にふっと浮かび上がってきます。僕の意見を押しつけることはしないけれど、こんなふうに生きている人がいるよという、実際の体験をできるだけたくさん紹介していきたいと思います。最終決断は、本人が決めることですが、それに至るプロセスに誠実につきあっていきたいと思っています。

 親の学習会がちょうど半分過ぎた頃、子どもたちは、劇の練習を終え、荒神山へのウォークラリーに出発します。生活・演劇グループごとに集合し、リーダーを中心にスタートです。ウォークラリー1ウォークラリー2 神社ウォークラリー3 琵琶湖
 僕は、学習会に参加していますから、このウォークラリーには参加したことがありません。登っているとき、頂上に着いたとき、そして下りるとき、おそらく、たくさんのドラマがあることでしょう。
 頂上からは、琵琶湖がきれいに見えるそうです。お茶やジュースを飲み、サマーキャンプ中唯一のおやつタイムです。
 保護者も同じです。午後1時から5時半までの長い学習会の途中でのおやつタイムは、僕もほっとします。

 学習会が終わりに近づいたころ、今年も無事に、全員が山から下りてきました。
 汗をかき、からだを動かし、荒神山を登り切った子どもたち。語り、聞き、考えて頭をいっぱい使った親たち。2日目の夕食は、まだ明るい野外で、カレーを食べます。その様子は、次回に。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2018/9/29