第29回吃音親子サマーキャンプ3 2日目が始まりました

 2日目の朝、朝のスポーツ担当の若いスタッフたちが、子どもたちを誘って、広場に行ったようです。そんな話し声や物音を聞きながら、僕はもう少しベッドにいました。ラジオ体操
 8月18日の朝の荒神山の気温は19度。さわやかです。酷暑の夏を過ごしてきた身には、何よりのプレゼントでした。みんなでラジオ体操をして、2日目が始まりました。
 食堂に無理をお願いして、貸していただき、食堂が作文教室に変わります。参加者全員が書きます。「テーマは吃音」です。どもる子どもは、自分の吃音にまつわるエピソードを、親は我が子の吃音にまつわるエピソードと自分の思いを、ことばの教室の担当者や言語聴覚士は担当している子どものことを、きょうだいは自分の兄や姉、弟や妹の吃音のことを、作文に書くのです。作文を書くことがあまり好きではない子どももいるでしょうが、聞こえてくるのは鉛筆の音だけという中で、それなりに書いているようです。作文1作文2作文3
 僕たちは、どうしても書けないときはそれでもいいと思っています。書けない自分と向き合う時間も悪くないと思うからです。前日の話し合いの90分では、みんなで吃音のことを考え、翌朝はひとりで90分、吃音に向き合い、そして、作文の後、2回目の話し合いが120分あります。このサンドイッチになっていることが、吃音に向き合い、吃音の人生を考える時間を豊かなものにしてくれていると、密かに僕は思っているのです。

 みんなが作文を書いている時間、2階の学習室では、参加1回目や2回目など比較的浅い回数のスタッフ向けのサマーキャンプ基礎講座を開いています。1日目を過ごした後、キャンプについて、各自が気づいたこと、聞きたいこと、疑問に思ったことを自由に出してもらいます。「なぜ演劇活動が大きな柱なのか?」「実行委員会などの準備がないのに、どうして140名もの参加者の運営ができるのか?」など質問が出されます。長年スタッフをしているどもる人、ことばの教室の教師、どもる子どもの親と私が答えていきます。 それぞれが経験したことを大切にして、このサマーキャンプを味わってほしいと願っていますが、キャンプで基本的に大切にしていることは、きっちりと伝えます。それが、1年1年積み重なって、キャンプの伝統、文化になっていくのです。基礎講座

 もうひとつの平行プログラムは、午後からのウォークラリーの準備です。4つに分かれている生活・演劇グループごとに荒神山に登ります。それぞれのグループからリーダーが出て、自然の家の人との打ち合わせをします。その後、もう一度、独自に確認します。このリーダーは、すべてサマーキャンプの卒業生です。参加者として登ったことがあり、よく知っている荒神山ですが、グループのみんなのことを把握しながら安全第一で登るのとは少々勝手が違うようです。でも、子どもたち同士のつながりを大切にしながら、年上の子どもたちにも任せながら登るよう、心配りをしてくれているようです。そんな打ち合わせの時間でもあります。

 作文が終わるころ、基礎講座もウォークラリーの打ち合わせも終わり、次のプログラムが始まります。2回目の話し合いです。作文に書いたことをきっかけにして始まるところ、昨日の話し合いのつづきからスタートするところ、何を話し合いたいか宿題が出ていたところなど、いろいろな形で話し合いが始まります。

日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2018/9/26