第26回吃音親子サマーキャンプ 14

  真剣に話し合ったからこその弾ける姿 親の表現活動
 
 さあ、3日目の最終日。
 朝食後、子どもたちは劇の上演に向けて、リハーサルが始まります。上手に演じることが目的ではなく、芝居という形で、自分の声、ことばに向き合うのです。自分のことばが相手に届いた実感、表現することの楽しさを知ってほしい、そんな願いのもと、スタッフは、グループごとに独自の取り組みを通して子どものことばに関わっていきます。衣装をつけ、小道具をもつと、みんな女優・男優気分です。

 そんな子どもたちの上演の前座をつとめるのが親たちです。親たち自身にも表現力をつけてほしいと、偶然、生まれた親の表現活動、いつの間にか定番プログラムになってしまいました。

親の表現練習1

親の表現練習2

親の表現練習3

 集会室に集まった常連の親は余裕の顔ですが、初参加の親は何が始まるのだろうかと少し緊張気味です。ここ10年以上、工藤直子の「のはらうた」から詩を用意しています。それを話し合いのグループごとに集まり、身振り手振りをつけて表現するのです。笑い声があちらこちらから聞こえてきて、楽しそうですが、練習は真剣そのもの。動き回り、走り回り、詩の世界がぐんと厚みを増していきます。緊張気味だった初参加の親も、全体の雰囲気につられて、楽しそうに表現しています。上演少し前にリハーサル、それぞれのグループらしさが出ています。
 今年は、「のはらうた」に登場する常連の<かまきりりゅうじ>のソロライブとしました。5つのグループがそれぞれの<かまりりゅうじ>を表現していました。

親の表現観客

親の表現本番1
親の表現本番2
親の表現本番3
 午前10時、いよいよ開場・開演です。今年は特別に、レジリエンスの発表が1組あった後、僕のスタートの合図で、親の表現活動が始まりました。
 子どもたちが驚きの表情でみつめます。家では見たことのないような親の姿です。こんなことができるのは、この3日間、共に考え、話し合い、活動してきた仲間だからでしょう。弾けた親の姿は、すぐ後に続く子どもたちに引き継がれていきます。興奮状態が覚めやらぬ中、子どもたちの劇「雪わたり」が始まります。

日本津気温臨床研究会 伊藤伸二  2015/10/2