吃音ショートコースに3日間、僕たちにしっかりとつきあって下さった国重浩一さん。フェースブックでコメントを公開されていましたので、ちゃっかりとこのブログに貼り付けました。 国重さんに了解を得ていませんが、公開されたものなので、ゆるして下さるでしょう。いい時間を本当にありがとうございました。 

  「吃音とナラティヴ・アプローチ」

日本吃音臨床研究会の吃音ショートコース(10月11日〜13日)に講師として呼んでいただき、久しぶりに日本に帰ることができました。そして、三日間、私が知っているナラティヴ・アプローチについて、話をさせてもらいました。

 日ごろ思っていることですが、舞台の役者はよき観衆を得てより輝き、著書はよき読み手によってより意味のあるものとなります。このショートコースはまさに、よき観衆を得て、自由に語らせてもらったと感じることができました。


 さて、吃音とナラティヴ・アプローチの関係ですが、その可能性を大変感じることができました。

 いくつも重要な点があるのですが、ここでは次の点を上げておきます。

1.吃音領域において治療モデルという支配的なディスコースを前にして、当事者たちの声がかき消されようとしている中で、いかにそのような声を拾っていくのかというナラティヴの姿勢。

2.「吃音」というものによって、全体化されてしまった(ひとくくりにされてしまった)人びとに、その人が本来持っているその人らしさを再び気づいてもらうように働きかけ、その上で治癒することのない「吃音」とともに生きる術を見出そうとするナラティヴの姿勢。これは、「吃音」あるいは「どもり」を取り巻く意味付けの変更として理解されるのだと思います。

3.そして、その方向性をともに歩んでいくコミュニティを励ましていくナラティヴの姿勢。

これらのことについてもっとかけるような気がしますが、長くなりますので、このへんでやめておきます。
                                                       国重浩一

 日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2014/10/16