沖縄に新しい風が

 6月22日、那覇市にある、言語聴覚士の専門学校で一日講義をしました。昨年。その年の夏にあった、臨床家のための講習会に参加した専任教員の平良さんが、私たちの考えに共感して、ぜひ学生にも聞かせたいと一日講義をさせてくださったのです。一度きりと思っていたのが、今年も呼んでくださいました。

 前日、3人の専門学校の教員と家族、子どもがどもるという学生さんと、那覇市の大きなソバ屋で食事をしました。吃音が縁で、このような新しい出会いがあること、本当にありがたいことでした。

 当日、車が混んでいなかったために早く学校についたのですが、もう学生は勉強をしていました。国家試験の合格率が100パーセントというのもうなづけます。事前にお願いしていた、英国王のスピーチのレポートも、丁寧にかかれたものばかりでした。私は、すべての専門学校や大学で、事前に英国王のスピーチの感想を提出してもらっています。今回は、とても様子の違うレポートでした。

 これまでは、私の講義を聴く前のものです。だからどうしても、一般的な感想になります。今回は、平良さんがすでに吃音の講義をして、映画をみんなで見て、デッイカッションもした後でのものだつたので、私が解説するものに近いものでした。平良さんはこれまでの教科書をあめて、「親。教師、言語聴覚士が使える、吃音ワークブック」を教科書にして吃音の講義をしています。

 おそらく、私がかかわる7校以外で、この教科書をつかっての講義がなされるところはないでしょう。そのような、素地があるうえで「英国王のスピーチ」を見て、さらにディスカッションをしているのですから、これまでのレポートと違うのはある意味当然のことだったのです。 

 一日の講義は、学生さんもあっという間だった言ってくれましたが、一人一人が発言する、楽しいものでした。感想を書いて送って下さるのが楽しみです。

 私の少数派の意見も、平良さんのお蔭で、沖縄で浸透していく予感がしたうれしい一日でした。

 日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2013年6月24日