文福
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 素晴らしい人の輪

 2月29日、桂文福さんの落語家40周年の記念の大演会・大宴会がありました。
 すごい人の数でした。私は早めに申し込みましたが、大阪吃音教室の仲間が申し込んだときは、すでに満席だったようです。キャンセル待ちをしていた、仲間の川崎益彦さんはなんとか入り、川崎さんの娘さんと3人で行ってきました。一部が落語会、二部が宴会です。
 私たちは最前列で聞きました。会場はびっしり、お相撲さんの姿も目立ちました。文福さんほど、大相撲を愛し、お相撲さんとのつきあいの深い落語家はいません。春場所を控えているせいもあって、たくさんの親方や力士がお祝いに駆けつけていました。
 文福さんには5人のお弟子さんがいますが、その一人、桂文鹿さんは、端正な古典落語をしました。久しぶりに聞きましたが、声もよく、文福さんも、師匠よりもうまいとほめていました。文福さんは、いつものように明るさと、サービス精神全開の、文福さん独特の世界で2席も勤め、会場を沸かせていました。

 前にもブログで書いたと思いますが、文福さんとの出会いは、NHKの「にんげんゆうゆう」の番組を見た息子さんが、父親の文福さんに見せたいと録画をしたものを、旅から帰った文福さんが見て、感激しましたと、お電話下さったことがきっかけです。
 その後、2000年秋、大阪天王寺区にある有名なお寺、應典院のコモンズフェスタという催しの中で、文福さんの企画をしました。文福さんの落語と、私との対談です。文福一座の皆さんが来て下さいました。その時のタイトルを、「どもりを個性にー桂文福のオリジナルな落語人生」としました。ご本人に相談もしなかったようで、そのビラを当日見た文福さんもびっくりし、苦笑いされながら受け止めて下さいました。

 文福さんは、ご自分の吃音を隠していたわけではないけれど、おおっぴらに吃音について話すことはこれまでほとんどなかったのが、これで覚悟ができたとおっしゃいました。文福さんのことばでは、「カミングアウト」する大きなきっかけになったと言って下さいました。それからは、いろんなところで吃音についてオープンに話されるようになったそうです。
 
 2004年夏、大阪で開かれた、ことばの教室の教師の全国大会である、全国公立学校難聴・言語障害教育の全国大会で記念講演を依頼され、その講演の中で、私との出会いを話して下さるなど、積極的に吃音について話して下さるようになりました。

 第一部の落語会の後は、スイスホテルの宴会場での大宴会。川崎さんの見立てでは、400人ほどの参加者の前で、その吃音について紹介するとは、私は全く予想はしていませんでした。
 私としては、うれしいそのハプニングは次回に。

 日本吃音臨床研究会・会長 伊藤伸二 2012年3月7日