真剣に人生を考えるには、温かい空間が必要 


 2009年10月10日11日12日と開催された、5回目の吃音ショートコースが終わりました。

 第20回の吃音親子サマーキャンプを、このブログでの報告をしないまま、大阪教育大学での集中講義、そして吃音ショートコースが過ぎました。たくさん書きたいことがあるのに、書く時間がとれまいままに、バタバタとして、時間が通り過ぎていきます。そして、今週末は群馬県での吃る子どものためのキャンプ、その次の週が静岡県の吃る子どものキャンプ。次から次へと続く、私にとっては全て重要なもので、いろんな思いがあってなかなか書けませんでした。

 しかし、このブログは日記風のもので、さらさらと書けばいいのだとスタートしたはずなのですが、長年のライフスタイルがなかなか変えられずに、きばって書いてしまいます。このブログの中でも、何度もそういう事をかいていますが、いや、本当にだめですね。

 吃音ショートコースの今回の講師は、アドラー心理学の岸見一郎さん
 内容については、順々に書くとしても、驚いたのは、岸見さんがブログを毎日書いておられることです。私は一度、毎日文章を書こうと決心したことがあります。一日一日、何かを感じ、何かを考え、ふと、いい考えが浮かぶことがあります。それが消えてしまうのはもったいないと考えたからです。もう7年ほど前になるでしょうか。

 教育実践家の平井雷太さんが、考現学というネットワークをもち、そのメンバーにファックスで書いた文章をおくろうというものです。もちろん、それに対してレスポンスし互いに考えようというものでした。平井さんも毎日書いています。旅先でもです。そして、そのネットワークに入るには、月間会費が1万円なのです。このような縛りがあれば、私にも書けるかも知れない。次々他の人の書いた文章がフアックスで入ってきます。その人達の為にも何か発信しなけれはならないと思いますし、月一万円は大きな金額です。
 しかし、今と同じような状況でやはり書くことが出来ませんでした。結局一年ほど、ネットワークのメンバーには発信しないメンバーとして、申し訳ないし、月一万円はさすがにもったいなくなって、そのネットワークから抜けました。
 そして今、性懲りもなく今に至っています。

 私は常に3日坊主です。しかし、それは自分がしていることなので、変えたいと思えば変えることができます。平井さんに出会ったときは、自分を変えることができませんでした。今回、せっかく岸見さんに出会ったのですから、今回こそ変えようと決心しました。また、挫折するかも知れません。それはそれとして、まあ、挑戦してみます。懲りずにおつき合い下さい。
 ブログを書いて、多くの場合コメントのやりとりがあります。書いたものに何かのレスポンスがあれば、それに勇気づけられ書くこともできるかもしれません。しかし、私のブログは私からだけの発信にしました。ご存知のように吃音に対しては、さまざまな考え方、実践があります。そして、私の考えは、一部の人にはなかなか受けいけられないものであるようです。そこで議論で消耗したくないので、是非、私のメールに感想などお寄せいただければ、必ず返事は致します。


 長い、長い言い訳の前書きになりました。
 15回目の吃音ショートコースでテーマとした、アドラー心理学は、ある意味厳しい心理学です。私の吃音へのアブローチもある意味厳しさをもっています。ずっとアドラー心理学を書籍だけでなく、講演や講座に参加して、私が35年前に考えつき、今でも微動だにしないひとつの考え方と、とても共通する。というより、そのままほとんど変わらないといっていいほどなので、吃音とアドラー心理学を結びつけて、吃る人、ことばの教室の担当者や言語聴覚士に学んでもらいたいと計画したのです。

 参加した多くの人にとって、吃音とどう結びついたかは分かりませんが、時間を書けて、参加した仲間達と深めていくきっかけにはなったと確信しています。
 それ以上に参加者の心をつかんだのは、岸見一郎さんの優しい、真摯な、温かい人柄、そして、人生に向き合うライフスタイルでした。休憩中、食事時常に誰かに囲まれ、質問や相談にのっておられました。最後の振り返り場にもいて下さり、「みなさんの、真摯な態度に、胸がつまりました」と涙ぐまれ、絶句されました。温かい3日間だったと、改めて、参加者みんなと共有した一瞬でした。

 こうして、楽しくハードな3日間が終わりました。
 栃木県や神奈川県など関東地方から、沖縄県、鹿児島県の九州地方から、いい仲間が集まりました。この人達と過ごせた3日間はとても貴重な時間でした。

 始めて知らない場にでるのは、不安や恐れがあり、多少勇気がいります。まして、3日間となると少しじゃない勇気が必要かもしれません。それを、一歩前に踏み出せば、新しい世界が開けます。そして、初参加の人たちも、楽しんで下さいました。真剣に自分の、他者の人生と向き合うには、リラックスした、温かい空間がひつようなのです。そのような場を提供したいと常に心がけています。

 詳しくはまた、そして、吃音親子サマーキャンプなどもまた。

 2009年10月15日        伊藤伸二