千竃さんの紙芝居
 1月4日の湯布院での「小さな座談会」に、千竃八重子さんが北海道在住の絵本作家、本田哲也さんのお連れ会いのチヱ子さんとつれだって参加してくださいました。千竃さんは鬼ヶ島文庫の館長さんです。

 鬼ヶ島文庫
 湯布院町の中心から少し離れた塚原高原に、「絵本の中から飛び出てきたような素敵なログハウス」と誰かのブログにありました。そのブログから写真も転載しました。

 千竃さんが子どもたちのために開いた小さな文庫で、近くの子どもたちだけでなく、訪れる人に開かれた文庫です。子どもたちが好きな絵本を、親がベンチに座って読み聞かせたり、本を借りることもできます。子どもだけでなく大人も楽しめる空間。詳しくは聞けなかったので、間違っているかもしれませんが、火事になり、大切なたくさんの絵本と共に消失したそうです。
 千竃さんだけでなく、子どもたちや、親、その文庫に関わってきた多くの絵本作家にとって大きな悲しい出来事だったことでしょう。それを、80歳になる千竃さんは再建を決意します。たくさんの絵本作家が新たにえほんなどを寄贈して再建されました。

 すごいですね。大変に失礼なことですが、僕が80歳で、このような状況で再建を考えることができるかどうか、自信がありません。たくさんの作家との深い交流、地域の人たちに強く支持され、必要とされていたからこそ実現できたのだと思います。再開された日、今日、僕の話を聞きに集まって下さった人も、たくさんの人とお祝いをしたそうです。
 今回は、僕が話をして、皆さんが質問して語る会だったので、千竃さんについて、お話が聞けませんでしたし、鬼ヶ島文庫にも行っていません。次に湯布院に来たときは、鬼ヶ島文庫に行って、千竃さんから、ゆっくり話をお聞きしたいと思いました。
 
 千竃さんは、芝居文化の会という会も積極的にかかわっておられます。僕はしらなかったのですが、紙芝居が世界に広がっているというのです。紙芝居は、日本独自の文化財で、優れた紙芝居作品が優れた演じ手によって演じられ、世界中に共感の輪が広がり、ベトナムの紙芝居をみせていただきました。日本の文化が世界に広がっていることはとてもうれしいことです。
 
 そして、楽しい食事がすんでから、千竃さんが特別に紙芝居を演じて下さいました。
 僕の大好きな宮沢賢治の「雪わたり」を「キツネのげんとう」としてつくられて作品です。小学生の頃、親から禁じられていた紙芝居。どうして禁じられていたのだろうと不思議に思っていたのですが、今から思えば、料金とも言える「お菓子」を買うお金がなかったからかもしれません。60ぶりかで、子どもに帰って紙芝居を楽しみました。

 キツネのげんとうは、竹内敏晴さんの演出で何度か舞台で演じたことがあります。とても懐かしく、うれしく、千竃さんの語りの世界に引き込まれていきました。

 人が出会い、またその人の仲間にであっていく。湯布院に知り合いが、ひとり二人と増えていくこと、とても不思議で有り、うれしく、しあわせなことです。うれしい食事会でした。

 日本吃音臨床研究会 伊藤伸二 2014/01/10

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