多くの人が共感して下さった発表  


 昨夜遅く、北海道千歳市から帰りました。充実感のある、達成感のもてた、とてもうれしい北海道でした。
 難聴の子ども、どもる子ども、構音障害の子どもたちは、ことばの教室、通級教室といわれる学級に、週に一度などのペースで通い、指導を受けています。その学級の担当教員が全国各地で実践の発表や、研修、研究活動をしています。年に一度開かれるのが、全国難聴言語障害教育研究大会です。記念講演や研修講座、研究実践発表の分科会がもたれます。私も、吃音分科会のコーディネーターや、詩人の谷川俊太郎さんと記念対談をしたことがあります。
 今回は、役割はなかったのですが、吃音ワークブックを一緒に作った、吃音プロジェクの仲間である千葉市のことばの教室の渡邉美穂さんが「どもりカルタ」の実践を発表することになり、その応援に行ってきました。そして、もちろん今度出版された本の販売もしてきました。
 実践の発表は、私たちの主張する「吃音を治すのではなく、吃音と共に生きる」を、子どもたちとどう学んでいくか、というものでした。吃音と共に生きるためには、まず吃音と向きあわなければなりません。渡邉さんは、「どもりカルタ」の教材をつかって、子どもたちと実践する姿を、いきいきと発表しました。
 また、詳しく報告しますが、仲間だからとひいき目にみることを差し引いても、私がコーディネーターをしたこれまでの吃音分科会で聞いた発表の中で、もっとも実践的で、素晴らしいものでした。
 一緒に応援に行った、千葉市のことばの教室の高瀬景子さんと3人で何度もふりかえり、その余韻を味わいました。吃音を治す、少しでも吃音をコントロールできる子どもにしたい実践が少なくない中で、吃音の症状といわれるものに一切アプローチせず、吃音と向き合うことだけを子どもと取り組んだ実践です。
 私は、どもる人の世界大会や、研究者の世界大会に参加していて、たくさん発表を聞いていますが、おそらく世界でも先進的な発表だと思いました。参加者の質問も多く、今後の実践に生かしたいとの声も多く聞かれ、3時間30分があっという間に過ぎました。まだまだ、話し合いたい、聞きたいという雰囲気でした。それだけ充実していたのです。

 幸せな気持ちのままに、明日から吃音ショートコースです。北海道のべてるの家の向谷地生良さんが、「当事者研究」のワークショップをして下さいます。たくさん書くことはあるのですが、もう琵琶湖に出発する時間です。
 報告をお待ち下さい。

 日本吃音臨床研究会 会長 伊藤伸二 2011年10月8日